~旅人のように、つくる~
「自由」とは本当はどんな状態をいうのか?
ぼくは、20代の頃にアフリカ・アジア・南米など27か国を一人で旅する中で、「自由」とは異国でstrangerになって次の行動を考える旅人の状態をいうのだ、という結論に至った。
次にどんな行動に出てもよい、という自由。
母国にいては、共同体のしがらみが全くない状態なんて、なかなかありえない。
そんな旅人のように生きたい、という願望は多くの人に共有されているだろう。
ぼくがいつの間にか旅をやめてしまったのは、母国にいても孤立することによってstrangerでいられる、と知ったからだ。
ぼくはstrangerになるために、自ら穴の中に籠って、20年近くも空間デザインの仕事をやってきたと言ってもいい。
ぼくは、その間、ずっと「自由」だったと思う。
GRIDFRAME HPの背景である黒は、ある意味で、ぼくのいる環境を示している。
でも、ぼくのライフワークは、ぼくたちが「創造性の連鎖」という方法で空間をつくらせていただくことを通して、「自由」に生きる人を増やしていくことなのだ。
穴の中にいては、なかなかぼくたちを見つけてもらえない。
ぼくたちに関わってくださった少数の方々にしか、同心円状に広がっていく「創造性の連鎖」の波が運んでくる「自由」を感じていただくことができない。
ぼくは穴から出ることにした。
そして、誰からも見える所へ、旗を掲げようと思う。
また旅を始めるかどうかは分からないが、同志を探して一緒にできることをできるだけ多く始めたい。そして、とにかく自分で考えてつくることの喜びを、できるだけ多くの人に連鎖させたい。
マテリアルスはそんな決意と共に、再稼働させる。HPの背景は、もちろん黒ではない。抜けるような青空だ。
異国でstrangerになってしまえば、どんなものにも一対一で向き合うことでしか旅を続けられない。そこで見えてくるものこそ、創造の源泉になりうる。
すべては旅から始まったのだから、旅人の心を持つ人となら、きっとつながれるだろう。
そんなわけで、マテリアルスは、「旅人のように自由な心でつくる」ことを基本として、
「外の天気を部屋の中へ持ってこよう」という遊び心をもって、次の4つのテーマを追求する。
・・・太陽光発電や風力発電で起こした電気などで動かす仕掛けが、人の心を動かすことを目的とする
・・・ぼくたちと植物の関係の多様性を探り、植物と制作物のインタラクティブ(相互作用的)な関係の可能性を広げる
・・・外を歩いていると出会う様々な素材に、さまざまな手を加えてその可能性を広げる
・・・水など自然のさまざまな動きをシンプルな仕掛けで室内に再現する
これらをいろいろな旅人の心を持つ人と、さまざまなレベルでアイディアを出し合いながら、ワクワクするようなものを実現させていきたい。
穴から出て、動き回って、動くものをつくって、人の心を動かしたいのだ。
もちろん、専門家のご協力も必要だ。
自然エネルギーについては、電気クリエイターA氏のご協力のもと、
グリーンについては、ランドスケープ・アーキテクトのGREFICA(代表:国分誠司氏)のご協力のもと、
これからも次々と遊びの空間を実現していきたい。
これらの方々も、むろん旅人の心を持つ面々である。
(マテリアルスMateriarsは、株式会社グリッドフレームの一事業部で、
英語のMaterial(素材)+ラテン語のArs(技術)の造語です。)